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zoom RSS GEASS小説 『どこでもいっしょ』 〜prologue〜

<<   作成日時 : 2010/04/09 12:53   >>

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『どこでもいっしょ』 〜prologue〜

彼の名前は枢木スザク。
人並み外れた体力を除けば、ごく普通の高校生だ。
通う高校は名門アッシュフォード学園。
両親は彼が幼い頃に既に他界しており、経済的にも学校に通う余裕などなかったのだが、運動能力がずば抜けて高かったスザクは特待生として学園に迎えられたていた。
今は学業の傍らアルバイトをしながらひとりでアパートに暮らしている。
寮に入っても良かったのだが、入学当時スザクは「アーサー」という名の猫を飼っており、寮はペット不可だった為ペット可のアパートに住む事にしたのだった。
事あるごとに噛み付かれたり、引っ掻かれたりしていたが、身寄りのいないスザクはその猫を家族のようにとても大切にしていた。
けれどそのネコも1年前に病気で死んでしまった。
「あらからもう1年かぁ・・・早いなぁ」
アーサーが死んでしまったのは高1の冬。
ちょうどこんなふうに冷たい北風が吹いていた日だった。
バイトで遅くなってしまった帰り道、スザクはぼんやりと物思いにふけりながら家路に向かった。
土手沿いを歩きながら薄暗く広がった空を見上げれば、12月に入ったばかりだというのに今にも雪が降り出しそうな空模様だ。
北風がピュ〜と吹き、思わず身震いする。
「ううッ!寒ッッ!!は、早く帰ろ・・・」
足早に歩みを進めた時だった。
「なんだ、アレ・・・?」
ふいに土手下の枯れた茂みに目が留まる。
そこには何やら黒っぽい物が見え隠れしており、スザクは探るように目を細めた。
「・・・え〜っと、・・・あし・・足?・・・ヒトっ!?たた大変だッ!人がッ・・倒れてるッ・・!?」
その物体が人らしきものであると察知したスザクは慌てて土手を駆け下りた。
枯れ葉に半分埋もれるようにしてあったその躯は、まだほんの小さな子供。
しかも全身傷だらけだった。
ただ事でないその様子にスザクは慌てる。
「ちょ・・、ちょっと君ッ、大丈夫!?」
抱き起こすと、かすかに息はしているようだ。
「よ、良かったぁ〜生きてる!」
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間。
「・・・ん?」
ふと感じた違和感に、改めて子供の姿を確認したスザクはあっと息を呑む。
その子供の頭には黒いネコの耳がちょこんと付いていた。
恐る恐る腰のあたりを確認すれば、当然のように長くて黒い尻尾も付いている。
スザクはゴクリと息を呑んだ。
「どうしよう・・・。僕、半獣の子を拾っちゃった・・・」
そういうと子供を抱きかかえたまま、途方に暮れたように天を仰ぎ見るのだった。


----『半獣』。
それはヒトの遺伝子と動物の遺伝子を組み合わせる事によって造られた生物。
見た目はほぼ人間と変わらないのだが、耳や尻尾などにその動物の特徴が見うけられる。
愛玩動物として、実験体として。
時には生物兵器として・・・。
理由は様々だったが、その昔数多くの半獣が世に産みだされた。
政権が何度か交代して後、半獣を造りだす事が法的に禁じられると、その数は年代とともに激減していき、今では人口の約1割にも満たない。
中には個々に繁殖を繰り返し増えていった種もあったが、増えすぎてしまった種は人知れず実験体という形で政府に処分されていた。
このように半獣は未だ市民権を得られず、社会的には『動物』もしくは『物』という扱いを受けいる。
世論の中にはそういった風潮に意を唱える者も多く、上流階級の一部では不遇な扱いを受けている半獣を保護しようと活動をしている者もいる。
スザクの通うアッシュフォード学園にも、保護活動をしている者が数名在籍していた。
しかしながらそういった地道な活動の裏で、今もなお希少価値の高いものは闇取引の道具とされている事すらあるのが現状だった-----。


甘いミルクの香りが漂う暖かな部屋。
鼻をヒクヒクさせたかと思うと、小さな黒い耳がピクリと動く。
柔らかな毛布にくるまって、その半獣の子はうっすらと目を開けた。
美しいアメジストのその瞳が、ぼんやりとあたりを映し出す。
「あ、気が付いた?」
光りの中にあらわれたひとつの朧げな影。
声の主に焦点をあわせようと目を細めると、こちらを覗きこむ優しげな深い緑とぶつかる。
ハッと我にかえった半獣の子は目を大きく見開き飛び起きた。
と、その瞬間体中に激痛が走る。
「にゃッぅッ・・!!」
「あぁッ、まだ動いちゃダメだよ!君、傷だらけで倒れてたんだから・・・」
「!?」
見知らぬ人間が目の前にいたことによほど驚いたのだろう。
パニック状態に陥った半獣の子は、それこそ猫が毛を逆立てて威嚇するように、スザクを睨みつけながら身構えた。
「え〜っと、僕の言葉分かるかい?う〜ん、通じないのかなぁ。困ったな・・・」
とりあえずスザクは身振り手振りで意志の疎通を試みる。
しかしながら半獣の子はますますもって警戒心を強めるばかりであった。
スザクを敵とみなしているのか、隙あらば噛み付いて逃げ出すぐらいの勢いだ。
「応急手当てはしといたんだけど、明日ちゃんと病院で見てもらったほうがいいよ。僕の友人に半獣でも診てくれる医者を紹介してくれる人が・・・って!ダメだってば、まだ動いちゃ・・・!」
よろめく半獣の子に手を差し伸べようとした時だった。
「あイタタタッ・・・!!」
スザクの手を、小さい爪が容赦なく引っ掻いた。
血で赤く滲んだ2本の線が手の甲に浮かび上がる。
「フッッーーーー!!」
興奮状態の半獣の子は、来るなら来てみろと言わんばかりに、怪我でよろめきながらも果敢に臨戦態勢をとった。
殴られるか、蹴られるか・・・、ジリジリと身構えていたのだが、意外にも目の前の人間はクスクスと可笑しそうに、ただ笑うだけであった。
「アハハ、やっぱり僕ってネコに引っ掻かれる運命にあるのかなぁ〜。あ、そうだ。君、お腹空いてるんじゃない?ミルク温めておいたから持ってきてあげるね。それから・・・ええっと〜、半獣って何を食べさせればいいのかな?君はネコ族のようだからやっぱネコ缶とかになるのかな?いや待てよ、ジノん所のアーニャは確か・・・」
今さっき引っ掻かれた事などなんとも思っていないかのように、独り言を呟きながら台所へたつと、冷蔵庫をあけて何やらゴソゴソと物色し始めた。
思いもよらない人間のその行動に、半獣の子はなかば拍子抜けしたように、キョトンとした表情でその後姿を見つめていた。

ほどなくして美味そうな肉の焼ける匂いがしてきた。
「エヘヘ、ごめんね〜。給料日前だから、あまりたいした物ないんだ。自炊っていっても、僕あんまり料理得意じゃないし・・・」
そういいながらスザクが持ってきたのは温めたミルクと、焼いたソーセージだった。
スザクが近づこうとすると再び威嚇を始めたので、今度は引っ掻かれないように少し距離をとりつつ、そっと皿を置いてやる。
しかしながら半獣の子は警戒したまま食べようとしない。
怪我した足を引きずりながら、右へ左へウロウロと落ちつかない様子だった。
そこでスザクは焼いたソーセージを一切れつまむと、自分の口に放り込んで食べて見せた。
「うん、美味しい♪」
そういって満面の笑みで美味そうに食べてみせるその様子に、飲まず喰わずだった半獣の子はゴクリと唾をのんだ。
途端に腹の虫がキュルルル〜と可愛らしい音をたてる。
しまったと言わんばかりに半潤の子は真っ赤になって唇を噛んだ。
思わず笑ってしまったスザクだったが、どうやらそれがいけなかったらしい。
プライドを傷つけられた半獣の子は、ますます真っ赤になってスザクを責めるように威嚇する。
「ごめん、ごめん。もう笑わないからさ・・・。ね、おなか空いてるんでしょ?」
目の前の人間はそういってご機嫌をとるかのように微笑みかけてくる。
加えてミルクの甘い匂いと、焼けたソーセージの香ばしい匂いが小さな鼻を刺激する。
本能に抗えなくなった半獣の子は、一歩、また一歩と慎重にスザクとの距離を縮めていった。
ようやく皿に手が届く位置まで近づくと、探るようにスザクとソーセージを交互に睨みつける。
「ほら、食べてごらん?」
スザクは半獣の子の鼻先にそっとソーセージの切れ端を近づけた。
一瞬ビクっと体を震わせた半獣の子は、その澄んだアメジストの瞳でじっとスザクを見つめた。
「大丈夫、怖くないよ・・・」
ふんわりと包みこむような声。
優しげな翡翠・・・。
それに惹かれるかのように最後の一歩を踏み出した半獣の子は、ソーセージの匂いを確かめるようにフンフンと鼻を鳴らすと、舌先でぺろりと一舐めした。
よほどお腹が空いていたのだろう、その後はせきを切ったように夢中で食べ始める。
時々胸につかえそうになりながらも口いっぱい頬張っている。
「そんなに慌てて食べなくても大丈夫だよ」
「んにゃッ・・!」
どうやらミルクが少し熱かったようだ。
小さく舌を出したまま顔をしかめている。
「ほらほら、ゆっくり飲んで。フフ・・・半獣でも猫族はやっぱり猫舌なんだ」
コップでミルクを飲む姿は人間と同じなのに、時折ピクピク動く頭上の黒い耳や、しなやかな黒い尻尾は紛れもないネコのものである事に、スザクは少し不思議な気分がした。
満足そうに一息ついた半獣の子は、猫がそうやるように手の甲をペロペロと舐めはじめる。
ひとしきりグルーミングのような行動をすると、再びじっとスザクの事を見つめた。
半獣の子の可愛らしい仕草のひとつひとつにちょっと見惚れていたスザクは、半獣の子の視線に気づき慌てて口を開く。
「ええっとぉ・・・お腹、いっぱいになったかい?」
スザクは自身のお腹をさするようにして満腹な状態を表現してみせた。
すると半獣の子はコックリ頷く。
どうやらやっと気持ちが落ち着いたようなので、意志の疎通が図れるかスザクは再び試みた。
「僕の言葉は分かるかい?僕はスザク。枢木スザクっていうんだ、よろしくね」
「・・・ミャ・・く・・?ス・・ザ・・?」
「そうそう。僕の名前だよ。ス・ザ・ク・・・『スザク』だ」
半獣の子は口の動きを読み取りながら、何度かその言葉を繰り返した。
「・・・・・ミャ・・く・・。な・・まえ・・ス・・・ザ・・く・・・スザク・・」
発音は少し微妙ながらも、全く言葉が喋れないわけではなさそうだ。
こちらの言っている言葉も一応は理解しているようなので、なんとかなるかもしれない。
嬉しくなったスザクはつい矢継ぎ早に質問してしまった。
「君は?君の名前は何ていうの・・・?どうしてあんな所に倒れてたの?君の家族とか・・・その、ご主人様とかは何処にいるのかな?」
すると半獣の子は困ったような顔をして、小さく首を振ると項垂れた。
何か思い出そうとしても思い出せない様子だった。
「う〜ん、もしかして記憶喪失なのかな?せめて名前だけでもわかればいいんだけど。ねぇ、何か覚えている事はないかな?何でもいいんだ。知ってる事があれば・・・」

  『・・・ルルーシュ』

ふいに半獣の子は何か思い出したかのようにそう呟いた。
「え・・ルルーシュ?それが君の名前かい?」
半獣の子は頷くと、自身を指差してもう一度その名前を言った。
「そうか、ルルーシュかぁ・・・。うん、素敵な名前だねvvv」
そういってスザクは優しく微笑んだ。
するとルルーシュは今度はスザクを指差した。

 「ス ザ ク」

そういったかと思うと、その美しいアメジストの瞳を細め、ニッコリとスザクに微笑みかけたのだった。
一瞬、フワリと風がそよいだような気がした。
それはまるでサクラの花びらが舞うような、春のそよ風・・・。
「・・・ッ!!////」
スザクの胸の中で、トクンと小さく鼓動が鳴った。
嬉しいような、くすぐったいような-------。
 
 ------(ドキドキするような・・・?)

この時スザクは今までに感じた事がないくらい、幸せで満たされた気持ちになったのだった。
心の中に柔らかな春の風が吹き抜けていった・・・そんな感覚。
けれどこの気持ちの正体をスザクはまだ知らない。
それを知るのはもっとずっと先の事-----。
今はただ、優しく微笑みながらそっと小さなルルーシュの手を握る。

   『よろしくね、ルルーシュ』

これがスザクとルルーシュ、初めての出会いだった。 
----そして今もスザクの心に芽吹いた小さな種は静かに鼓動を続けている---。 




***********
「貴腐人の館」から「Secret Code」に名前を変えての初小説〜♪
いかがだったでしょうか〜ドッキドキ("▽"*)
以前にネコ耳メイド小説を書くも、メイドの方ばかりに気をとられネコ耳の方を満喫しきれなかったので、ここで発散する事に致しました(笑)
で、せっっかくだからちょっと子猫からスタートの育成ゲームっぽいものにしようかと。
なのでタイトルは某有名ゲームをイメージしております。
でもルルは頭が良いのでどんどん言葉を覚えていくんだよ!
ちなみにもうひとつのタイトル候補は「ルル猫育成計画!」だった。
EVA〜\(´∀`)丿

舞台設定は初冬ですが、イメージは【春】です。
枢木に「ルルーシュ」という名の春が訪れました!
少しでも皆さんに暖かな春を感じてもらえたら幸いですv


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なるほど(納得、参考になった、ヘー)

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